日本の難民認定制度

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日本で庇護希望者が難民認定申請をするには、母国から逃れる際に経験した身の危険の詳細を思い出して報告する必要があり、多大な努力と時間がかかります。

日本の難民認定制度は特に厳しく、融通があまり利きません。迫害を証明する書類が求められますが、命からがら逃げる際に準備する時間もなく、安全上の理由で持って来れない(反政府団体への参加を証明するものなど)、あるいは単に証拠がほとんどないなどの理由で、多くの難民はそのような書類は持参しません。法務省は、国際的な圧力や新型コロナウィルスの流行により難民に関する出入国手続きを定期的に改正していますが、この記事では日本にいる庇護希望者の一般的な身分について、特に収容所外でも変わらず収容状況下にある「仮放免」の制度について着眼しながら紹介します。

出入国在留管理庁によると、難民申請手続きは、書類申請、面接、そして却下された場合の(約99%が却下されます)不服申し立てという3つの部分から構成されています。申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 難民認定申請書
  • 日本語の陳述書
  • その他、日本語で難民であることを証明するもの
  • 写真2枚

日本で難民申請者が直面する最大の難点のひとつが、言語の壁です。予想に反するかもしれませんが、入国審査官、面接官、そして申請書審査官は英語を話せません。申請者はすべての書類を日本語に翻訳する必要がありますが、それは経済的に困難な場合がほとんどです。ましてや、ごく少数の人としかコミュニケーションが取れない国、正式な翻訳ができる日本語話者を探すネットワークもないのが一般的なのです。理論上は、難民認定の判断基準は迫害に関する陳述の正当性です。日本が1981年に加入した1951年の難民条約では、難民とは次のような人であると規定されています。

「人種、宗教、国籍、特定の社会集団の構成員であること、政治的意見を理由として迫害を受ける恐れがあるという十分な根拠に基づく恐怖を抱いており、国籍を有する国の外にいて、その国の保護を受けることができないか、その恐怖のために受ける意思がない者、または国籍を有さない場合、その出来事の結果、以前の常居所があった国の外にいて、そこに戻ることができないか、その恐怖のために戻る意思がない者 」ー 1条A項(2)

申請者との共通言語がないことに加え、難民認定の可否を判断する面接官には、難民法や国際法の経験や知識がありません。日本の難民制度では、職員は専門分野に特化せず、様々な部署を持ち回っています。そのため、専門的な知識がないゆえ適切な判断ができず、例えば、日にちの言い間違えなどの面接での言行不一致に判断が委ねられることが多いのです。面接では、庇護希望者は身体的拷問、性的暴行、戦争などの辛い経験を思い出し、語らなければいけません。彼らは自分の陳述書を丸暗記しようとしますが、日付、名前、時間などの詳細はどうしてもうろ覚えになってしまいます。このような些細な点は逃亡の理由に関係はありませんが、日本の出入国在留管理庁はこのような理由で申請を拒否することも少なくありません。

難民認定の手続き (出入国在留管理庁)

日本での様々な在留資格

  1. 難民認定

これが最終的な目標で、日本で他の国民と同じように、法的に歓迎され安心して暮らせるようになることです。このような「贅沢」を手にした個人には、次のようなことが認められます。

  • 退去強制に対する保護
  • 在留資格
  • 旅行する権利 
  • 医療、教育、雇用、社会福祉など、日本に住む日本人と同等の権利

注)人道的な理由による配慮
「人道的な理由による配慮」とは、難民不認定であっても人道的な理由を考慮した上で滞在許可が出ることを言います。日本に家族がいる人や病気の人が当てはまり、出入国在留管理庁は、過去の経歴、家族のつながり、出身国の状況などを審査します。許可されると、在留特別許可や在留資格変更許可などが受けられます。

  1. 特定活動

特定活動ビザは、日本における庇護希望者のほとんどが持っている資格で、これを取得した人は9ヶ月後に労働許可を申請することができます。しかし、健康保険には加入できず、住居の契約もできません。また、このビザは最初の9ヶ月が過ぎると、最寄りの出入国在留管理局で6ヶ月ごとに更新しなければなりません。また、それ以前も3カ月ごとに更新する必要があります。

  1. 仮放免

日本の出入国在留管理庁には、国連難民条約を締結している他の国とは異なり、「仮放免」と呼ばれる在留資格があります。その名が示すように、この資格は庇護希望者に収容所外での一時的な滞在を許可するものです。2004年に難民認定法に導入されたもので、この研究プロジェクトの語り手のほとんどがこの在留資格を有しています。彼らのほとんど全員が、この収容所外の収容所と見られる制度の不公平さと非人道性を語ってきました。コンクリートの壁でこそ囲まれてなくとも、この仮放免の資格を持つ人々は、労働許可も健康保険もなく、自分の家を持つこともでない上、最寄りの市役所から特別な許可を得なければ住んでいる県を離れることもできません。その上、2カ月ごとに更新しなければならず、出入国在留管理庁が必要と判断すれば、いつでも更新を拒否することができるです。入管によると、「仮放免を許可する場合、出入国在中管理庁長や監督入国審査官は、最大300万円の保証金を徴収した上に居住や活動に関する条件を設定し、必要があると認めれば被収容者に出入国在留管理庁への訪問を求める」こともできるそうです。