ガブリエルのチーム

英語版はこちら ENGLISH VERSION

文化的・人種的に異なる背景と、幅広いスキルと経験を持つ大学生の少人数のチームです。このチームは2020年春学期に難民のガブリエルの物語の研究を行いました。基本的な統計や国内の問題を意図的に扱うだけでなく、個人の視点を感情的に喚起し伝えることを目的としました。

ムラカミ ヒロキ

国際教養学部4年 人類学・社会学専攻
将来の計画」「日本に向けたメッセージ

日本で生まれ育った日系アメリカ人4世のヒロキ。幼稚園から高校卒業まで東京都調布市のインターナショナルスクールで学び、幼い頃から日本語と英語に親しみながら両文化のもと育ちました。多くの人と接するうちに、国際社会に強い関心を持つようになったそうです。そこで、上智大学国際教養学部で社会学・人類学を専攻し、グローバル化する社会とそこで生きようとする人々について学ぶことを決意したといいます。大学での勉強を通し、日本社会の現実が自分の目で見ているものとは違うこと、日本人も外国人も生きるために必死になっている人たちがたくさんいることを知りました。このプロジェクトに参加することで、勉強で得た技術や知識を活かして、何らかの形で難民を支援できないかと考えています。

ミャンマーで生まれ育ったカンは外国語の勉強に熱心で、さまざまな場面でさまざまな言語の人々と会話することで実りのある経験を積むのが好きです。語学の勉強で得た文化的、言語的な知識により、自分の性格やアイデンティティに戸惑いを感じることもありました。一方で、常に多くの文化に触れることで、異なる文化的背景を持つ人々とより良いコミュニケーションをとるための共通点を見出し、社会の多様性に貢献することができるようになったといいます。難民問題は一般の人々の生活から遠い存在になりがちですが、ガブリエルについて学び彼の物語を書くことは、カンにとって不運な社会集団の一つについて知識を得るだけでなく、多くの人々が見落としがちなこのような社会問題に対する意識を高める良い機会となりました。

チ ミン カン

国際教養学部4年 人類学・社会学専攻
収容から釈放まで
音楽・音響編集

ケヤニ ミシェル

国際教養学部4年 人類学・社会学専攻
日本へ来る前」「私にできる人助け」「暗い真実」動画編集

ミシェルはパキスタンと日本のハーフで、兵庫県で生まれ大学入学までのほとんどを地元で過ごしました。多国籍な文化に触れることで、物事を違った角度から見ることができ、人が見落としがちなことに気づく機会を得たそうです。学生時代から、難民、アイヌ、ホームレス、シングルマザー、ハーフなど、日本のマイノリティに興味を持ち続けてきました。それは日本で育った自分が、他人と違うこと、溶け込めないことを理解しているからだとミシェルは考えています。このプロジェクトは、日本における難民問題だけでなく、日本の社会力学を様々な形で描いているという点で、個々のストーリーがいかに異なる価値を持っているかを彼女に教えてくれました。また、日本ではこのような問題に対する他者の声に触れる機会が少ないことにも気づかされたといいます。統計的な表層だけを見て理解しているつもりになっているだけで、多くのニーズは伝わっていないのです。

アメリカ人と日本人のハーフのサブリナ。ハワイで生まれ、沖縄で育ちました。それぞれの国の離島に住んだ経験から、物事を違った角度から見ることができるようになったといいます。異なる国や文化を持つ人々と出会い、学びたいという情熱を常に持っており、日本がもっと多文化共生できる国になることを願っています。このプロジェクトでサブリナが学んだことのひとつは、より多くの人、特に少数派の人たちの声を聞く必要があるということだそうです。特に難民の場合、日本に難民がいることは多くの人が知っていますが、統計上の数字として扱われているのが現状です。ガブリエルとのこのプロジェクトを通して、メディアで報道されるイメージとは異なる現実があることを知りました。一人の男性の30年間をまとめるのは大変でしたが、人の話を聞くこと、人を助けることの大切さを教えてくれたので、やってよかったと思っているそうです。

アワーズ サブリナ ユキコ

国際教養学部4年 人類学・社会学専攻
日本へ来てから」「収容所の外で生き残る術」イラスト