入管との関係

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「諸刃の剣って感じかな。私たちを追い出すことはできないけど、でもその権限はあるみたいな。」

進行中のプロセス

17歳のオジーは法律上、母親から独立しています。それはつまり、自分で仮放免を更新しなければならないということです。オジーは3ヶ月に一度、入国管理局に行くために学校を休まなければなりません。授業を欠席するのになぜ特別な許可が必要なのかを先生や仲間に説明しなければならないのです。「サボっているんじゃなくて、ビザの更新のために入国管理局に行くのだと3ヶ月ごとに学校に説明しなければいけないから大変」とオジーは話します。仮放免の更新が遅れると待ち時間が長くなり、面接が厳しくなり、入国者収容所に入れられ強制送還されることさえあります。一度母親の仮放免の更新が遅れたとき、次は3ヶ月後ではなく、2ヶ月後に行かないといけなくなったことがあったそうです。

入国管理局では係官が仮放免の規則を再確認して、オジーがそれに従っているかどうかを監視します。「書類をチェックされて住所が変わっていないか、まだこの県に住んでいるのか、仕事をしているのかとかいろいろ質問されるし、仕事はできない、これはできない、あれはできないと言われて、それでまた学校に引き返す感じ。前はお母さんだけだったんだけど、今は自分で行かなきゃいけないからちょっと面倒。」とオジーは話します。何よりも、仮放免中の「できないこと」を入管はは強調するので、オジーがその制限の中でしか考えられなくなってしまうのです。

このような経験から、オジーは日本の厳しい入国管理制度に対して強い意見を持つようになりました。

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日本で他の市民と同じように普通の生活を送ろうと努力し続けるオジーは、家族の難民認定が却下されたことに憤りを示します。難民認定申請者の1%未満しか受け入れない日本の入国管理局の厳しい選択性に、彼らは難民に何を期待しているのか疑問に感じているのです。彼女は日本で働き、経済に貢献することを十二分に望んでいて、この3年間(2020年現在)学校に通い、すべての仮放免のルールを守っています。そして、そのことは日本で安心して生活を築けるようにするための政府への十分な証拠にならないのではないかと疑問を呈していて、その根底には日本社会における人種差別があり、「受け入れたくないから、ただ長引かせてるだけ」だと考えていると話してくれました。日本で仮放免中の庇護希望者であることがもたらす人種差別の結果にさらされて、オジーは当事者の人間性を重要視するようになったと言います。多くの場合、難民認定申請者は統計で見られますが、皆ニーズと権利を持つ人々です。「だらだら長引かせる」ことはこれらの人々、そしてオジーと家族の誠実さを軽視していると見ることができるとオジーは感じているのです。

日本は1981年に難民条約に調印し、難民や庇護希望者を受け入れ、保護する責任を負っていますが、オジーは自分と家族を強制送還する権力にも不安を感じています。「私たちを強制送還することはできないけれど、するかもしれない。私たちを受け入れる人道的義務はあるけれど、入管の好きなようにできる」とオジーは説明します。ここでもまた、仮放免の不安と脆弱性が分かります。仮放免の庇護希望者の多くは、入国管理官の意向に従って恣意的に収容されたり、強制送還されたりします。そのため、彼らはしばしば日本の入国管理局に対して不安定さや恐怖を感じているのです。日本はすでに国外の難民を支援することで「難民の負担を分かち合っている」と主張していますが、国内の難民への対応はまた別の話です。オジーはこのことを認識していて、いったん理由を与えれば、入管は自分たちを強制送還すると感じていると話してくれました。

入国管理局は庇護申請者に対し、日本では必要とされていないことを常に思い起こさせます。仮放免のような不安定な身分の人々に対し、故郷に帰った方がいいと直接脅しをかけているのです。オジーを仮放免に留め置くか、難民として受け入れるか、あるいは強制送還するかによって、入国管理局が彼女の人生を形作る力を持っています。

偽装難民

日本の入国管理局が難民条約を締結している他の国ほど多くの難民を受け入れていない正当な理由のひとつに、「偽装難民」の存在があります。オジーもまた、「偽装難民」の存在と、それが「本物の難民」のプロセスをいかに害するかを強く意識しています。とはいえ、社会に貢献し、積極的に生計を立てようとする限り、彼らを受け入れない理由はないのではないかと彼女は考えます。「言ったことと話が違うからといって、彼らが何かから逃げているわけでも、より良い生活を求めているわけでもない」と話します。日本でより良い生活を始めたいという彼らのニーズを無視するのではなく、「偽装難民」に対し、日本で生活する他の方法を見つけるように彼女は求めています。難民申請は、特に経済的な理由から、多くの移民が日本に滞在するための逃げ道になっています。その結果、オジーと彼女の家族のように危険や不幸から逃れてきたにもかかわらず、日本で安定した生活を始めることができないのです。